院長の活動報告

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兵庫県保険医協会健康情報テレフォンサービスへ寄稿

手足にぶつぶつが出来たら ――掌踵膿疱症――

手足にぶつぶつが出来る皮膚病には、湿疹や水虫がありますが、本日は掌踵膿疱症についてお話しします。掌踵膿疱症は、膿が溜まった膿疱と呼ばれる発疹が手のひら(手掌)や足の裏(足踵)に数多くみられる病気で、良くなったり、悪くなったりという経過を繰り返します。発疹は小さな水ぶくれがまず現れ、次第に膿疱になっていきます。その後はかさぶたになって、剥がれ落ちていき、これらの発疹が混じりあった状態になります。また、鎖骨や胸の中央、その他の関節が痛くなることがあります。この病気の発疹である膿疱には、細菌は含まれていません。従って他の部位にも、他人にも移ることはありません。原因として、扁桃腺炎や歯槽膿漏などの細菌による、慢性の炎症の病気が関係している場合があります。また、歯の治療の時に、歯に被せるパラジュウムなどの金属が引き金になることもあります。原因を確かめるには、細菌感染があるかどうか調べるための血液検査や、金属が関係しているかどうかを調べるために、パッチテストという検査が必要です。また、水虫との鑑別が必要なときもあり、これには顕微鏡による検査が必要です。いずれも皮膚科専門医で、検査を受けてください。治療は、もし扁桃腺炎などの細菌の感染があれば、抗生物質の飲み薬、歯の金属によるアレルギーがあれば、歯医者さんに相談をして、他の金属での治療をしてもらう必要があります。しかし、これでも治らない場合や新しい発疹が出てくる場合は、強めのステロイド軟膏やビタミンD3の軟膏を塗って治療します。紫外線やビタミンAの誘導体の飲み薬を使うこともあります。ただ、歯科金属の治療や、抗生物質の飲み薬でかなり良くなる人もいます。根気よく治療することが必要です。

(西宮市 法貴 憲)

兵庫県保険医協会健康情報テレフォンサービスへ寄稿

アトピー性皮膚炎の治療

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりの状態を繰り返す慢性の、痒みを伴う湿疹です。患者さんの多くは、いわゆるアトピー素因を持っています。アトピー素因というのは、①自分自身や家族に気管支喘息やアレルギー性鼻炎、結膜炎あるいはアトピー性皮膚炎がある、あるいは②血液検査で、IgEというアレルギーを示す抗体を持っている人です。人は、皮膚の一番上にある角層によって、様々な物質が入ってこないように守られています。その角層は水分や皮膚から出る脂肪などによって、瓦が敷き詰められたような構造をしています。アトピー性皮膚炎の人は皮膚が乾燥していることが多く、そのために角層に含まれる水分が失われて、瓦の構造に隙間ができ、いろいろな刺激が皮膚に入り込んで、アレルギー反応が起こってきます。いわゆるバリア機能が崩れた状態になっています。これを防ぐにはまずスキンケアが大切です。入浴、シャワーをしっかりとして、刺激の少ない石鹸で軽く洗ってください。それに加えて、使用感の良い保湿剤を選んで1日2回、たっぷり塗るようにしてください。このようにアトピー性皮膚炎は体の中からの原因と、外から入ってくる原因とがあり、根本的に治す治療はありません。先ずは保湿をきちんと施し、皮膚炎があれば、付け薬で治療します。基本的にはステロイド軟膏を、皮膚がしっとりする位の量を1日に2回塗ってください。紅い所や痒みがなくなるまで、塗ってください。良くなっても、すぐに止めるのではなく、例えば2日に1回とか、1週間に1~2回塗って、予防することが必要です。もちろん保湿剤を続けることも必要です。こういう塗り方は、ステロイド軟膏の副作用を防ぐためにも必要です。また特に顔に関しては、タクロリムスというステロイド以外の軟膏を使うこともあります。こういう薬を塗っても、どうしても治ってこない人には、ある一定の波長の紫外線をあてる方法や、シクロスポリンという免疫を抑える飲み薬があります。最近では筋肉への注射の薬も、保険で受けられるようになりました。ただアトピー性皮膚炎は、年齢とともに皮膚の症状が軽くなって行くことも分かっています。今はインターネットの普及により、様々な情報が飛び交っています。その情報に決して、惑わされないでください。皮膚の症状は人それぞれです。皮膚の状態によって、治療方法も変わってきます。まずは皮膚科専門医にご相談されることをお勧めします。

(西宮市 法貴 憲)

兵庫県保険医協会健康情報テレフォンサービスへ寄稿

白髪染めは体に大丈夫か

兵庫県医協会健康テレフォンサービスへ寄稿

紫外線と皮膚の老化

日本臨床皮膚科医会への寄稿

口唇ヘルペス

口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウィルスが唇に感染して生じる病気です。単純ヘルペスウィルスは唇の他に、眼や鼻の周り、時には外陰部などにも感染しますが、今回は口唇ヘルペスについてお話します。このウィルスは、感染した他人の皮膚に直接、唇が接触することによってうつります。その症状は、数個の水疱(みずぶくれ)がブドウの房のように集まって、ピリピリといったような痛みを感じます。

原因はウィルスですので、最初は他人から感染し、このときは唇の症状も激しく、高い熱が出ることもありますが、2週間もすればウィルスに対してその力を弱める力、すなわち抗体ができて自然に治ります。ただこのウィルスは一度、人の皮膚に侵入してしまうと、神経の中に居座り続け、いったん作られた抗体の値が下がったときに、再び力を強めて、再発して水疱を作ります。このような再発がどの位の間隔で起こってくるのかは、人それぞれによって個人差があります。

ウィルスに対して、抗体の値を下げてしまう2つの大きな要素は、紫外線と疲れです。唇は常に紫外線が当たっており、夏の紫外線の強い季節や疲れがひどい時に、よく再発を起こします。風邪をひいた後などの体力が落ちた時に、口唇ヘルペスが出やすいのはそのためです。

多くの場合、ヘルペスの症状は唇だけに留まりますが、顔にアトピー性皮膚炎などの湿疹がある場合には、「カポジー水痘様発疹症」といって、ヘルペスウィルスが湿疹の症状がある皮膚に感染して、顔中に水疱が拡がってしまい、高い熱が出ることもあります。また口の中に拡がって、食事が摂れないこともあります。

再発を繰り返す人は、症状が出る前に痛みや痒みなどの違和感が出ることが多いので、おかしいと思ったら、すぐに皮膚科などを訪れることをお勧めします。何もしなくても2週間ぐらいで自然に治りますか゛、症状が重い人、湿疹病変のある人はもちろん、症状の軽い人でも薬を内服したり、外用することにより、症状をより軽くすることができ、また短い期間で治すことができます。

唇に水疱ができたり、ピリピリした痛みが出たときには、早めに皮膚科を受診して下さい。

(兵庫県支部 法貴 憲)